2011年03月31日

美術の方針、固まる。――[378]生誕18,946日

 久しぶりにファミレスなんぞに食事に行くと、ヨーグルトのメニューがすべて販売休止になっていて驚く。いろんなところに大震災の影響が濃く影を落としている。切ない。切ないが一歩一歩。今は歩みを止めないことが大切だ。
 
 午後から舞台美術家Iさんと打ち合わせ。ウディ・アレンの『又聞きの思い出』は、「これは映画のシナリオか?」と思わせるほどに場面が複雑に交錯するので、「これが新人の脚本ならぼろくそ言われてますよ。おまえ、ちゃんと書けよって」(by美術家)、と確かに思う。手強い作品を前にして、うんうん頭を悩ますことを覚悟していたのだが、あっさり美術の方針が決まる。しかも演劇ならではの空間を自在に行き交う美術が構築できそうで早くも心が躍り出す。
 
 夜は劇団の基礎稽古。成長期の頃、急激に身長が伸びる男子がよく、「今、骨が伸びてるのがわかる」と言ったりしたもんだが、我が身はこの頃ストレッチをするごとに、「今、体が固まっていっているのがよくわかる」。曲がっていたものが曲がらない。開いていたものが開かない。回せていたものが回せない……。さみしい。さみしいです。(泣)
 天敵の若手Oのあまりの覇気のない稽古ぶりに怒り心頭になり、「やりたくないなら帰りなさい」と言うと、ほんとに帰りやがる。唯我独尊。それも若いということなのか。
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善福寺川公園には簡易トイレがちらほらとお目見え。震災を教訓に迅速に設置されたと感心してすぐ、いやいやこれはもうすぐ始まる花見客のためだと気づきました。
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2011年03月30日

ジキニサクラサク。――[377]生誕18,945日

 今年もサクラ咲く季節がやって来た。毎年毎年、満開の桜を見ながら、来年は目にできるだろうか、これが最後の桜になるやもしれぬ。いつもそう思う。そう思いながら、50を過ぎるということはそういうことだと我が身に言い聞かせる。だがどうやら、今年も桜を満喫できそうだ。
 
 ランニングに出る善福寺川公園の桜は枝に蕾をいっぱいにつけ、おお、春はもうそこまで、と心が軽やかになる。だが「老い」の我が身は心は軽やかなれど、実際に走っている体のほうはスネの骨に今ヒビが入ったんじゃないかと思うほどに時折、骨に痛みが走る。これはメタボに歯止め掛からぬ我が体にスネの骨までが悲鳴を上げているのではないか。走るたびに、これは体にいいのか?体を悪化させてないか? と侘びしい気持ちになる今日この頃。
 
 大震災以降、どうにもまだ心があっちに行ったりこっちに行ったりして、書き物仕事も集中力を欠いて捗らない。と、オノレの不甲斐なさを何かのせいにしてはいけません。自分の感受性くらい、自分で守れ、ばかものよ。
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間もなく咲き乱れます。間もなく。咲く日は来ます。
ガンバロウ日本。
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2011年03月29日

「細野の天然水」――[376]生誕18,944日

 左足の小指の付け根の少し下、魚の目ができている。今まで魚の目ができたことは一度もないのだが、たぶんこれは魚の目だ。左足は膝の調子もまだまだ覚束ないのに、加えて今度は魚の目だ。左足に体重をかけると膝がイテテ、続いて足の裏がイテテ。悲鳴を上げる魚の目だ。歳を取ると思わぬところに人生初めての異変が起こる。癌に続いての初体験が魚の目だ。癌や脳梗塞や肝硬変よりはマシだろうが、やっぱり厄介、魚の目だ。イテテ、イテテの魚の目、イテテテ。
 
 打ち合わせで午後になって表参道に出る。心なしか通りを行く人も少なく、以前ほどの活気がない。だがプロデューサーのSさんは以前と少しも変わらず、有無を言わせぬ調子で構想を語りに語る。強引ですらある。でも今のご時世、こうした気質がないとプロデューサーは務まらんのだろうなぁ。結局、押し切られて仕事を引き受ける。
 6時からは浜田山でワンツーワークスの基礎稽古。目先の目標がないから仕方ないとは思えど、あまりのテンションの低さにめらめらとS心が燃え立つ。取りに行け。勝ちに行け。高いモチベーションでアクションを起こさなければ何事も始まりはせぬ。そう戒める。(オッサン、おまえもな)
 
 水の送り主が無事に判明。届けばわかるだろうと踏んでいたのに、なんと「吾空」は「株式会社悟空」という会社名。しかも宅配便にはその会社名しか記されてなくて、誰が送ってくれたのやらさっぱりわからず、取りあえず中を見ればわかるだろうと段ボールを明けてみたら、中には送り主を特定するものは何もなく、出てきた銘柄が「細野の天然水」。
 おお、「細野」って我が生まれ故郷じゃん。我が身の本籍も「宮崎県小林市細野××」だ。我が故郷にこんな商品が誕生していたとは露知らず。とすれば、送り主は同級生のあいつか?と目星を付けてメールを送れど、「送ってないよ」とつれない返信が届いて、いよいよ真相は藪の中。誰だ?誰に感謝すればいいんだ?と、ほとほと困っていたら送り主、このブログを読んでくれたらしく、「私です」とメールで名乗り出てくれた。なんでもインターネットのサイトを通じて送ってくれたらしい。そうか、ネットで届け先を指定して注文すると送り主がわからない場合があるんだなと、お勉強しました。
 というわけでMさん、お心遣い、ありがとうございます。確かに目下の東京、「水道水から放射線」の報道以来、コンビニにはほとんど水がありません。助かります。しっかり、ふるさとを噛みしめながら味わいます。
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「細野の天然水」。滑らかな口当たり。懐かしい味がする。
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2011年03月28日

「トゥルー・グリット」――[375]生誕18,943日

 芝居の稽古に明け暮れているうちに、書き物仕事はたまる一方。今週はパソコンの前に張りつく時間がたぶん増え、それでまた鉄板のような肩・首をますます強固に凝り固まらせていくのだろう。くわばら、くわばら。
 
 余震が頻繁に続いているからか、あれ?今揺れてる? と揺れてもいないのに、はた、と動きを止めることが最近よくある。これは、ホントは揺れている震度1程度の小さな揺れを我が繊細で敏感な身体はキャッチしているということなのか、それとも小心者の我が心身が過敏になっているだけなのか、はたまた単なる「老い」、呆けの兆候なのか。
 
 映画『トゥルー・グリット』を観る。リメイクだからか、コーエン兄弟監督にしては驚くほど正統なつくりで、そのことに意表を突かれる。それにしてもマット・デイモンはいい役者になった。無駄がないとはこういうことだという演技に惚れ惚れする。 今の日本、誰もが強い意志を持った「トゥルー・グリット」であらねば。そんなことも思ったりしました。はい。
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コミックは今、これがマイブーム。一気に5巻までを読破。
今のニッポンを救うヒーローは現れてくれないものか。
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2011年03月27日

メンバー・オーディション。――[374]生誕18,942日

 劇団のメンバー・オーディション2日目。今日は午後2時から9時まで、たっぷりの長丁場。体と声のコントロール、会話の技術、独りエチュード、テキスト『中也が愛した女』を使ったシーンスタディなど、盛り沢山な内容を矢継ぎ早にこなす。それでも予定時間をオーバーして、最後に面接で一人一人に動機なんぞを聞くと、まさに十人十色。誰もが自分のドラマを抱えて生きているのだと改めて思う。出会いは大切だ。
 
 我が居住区は今のところ計画停電の対象外、交通の便もほぼ震災前に戻っていて、何不自由なく暮らせている。それがなんだか心苦しい、と思ってしまうほど、「3.11」を境に世の中は大きく変わってしまった。少しでも早く以前の日常を取り戻すのはいいことだと思っていたのだが、CMを流し始めた企業には非難の声が数多く寄せられているという。いわく、不謹慎。でも、そうなのか?企業がいつまでも謹慎していたら、この国はすっかりダメになってしまうのではないか。私ぁ、嬉しいですけどね。いろんなCMが再開されるごとに、「おお、君も戻ってきましたか」と頼もしい気になる。元気が出る。……俺だけ?
 福島の第一原発はどうも以前より深刻になっている模様だが、それをマスコミが突っ込んだ形で取りあげないのはなぜなのか。今はそれがすこぶる気に掛かる。
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木に群がる。実は剪定中です。新しい芽吹きのために。
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2011年03月26日

打ち上げる。――[373]生誕18,941日

 「ガンバロウ日本」の張り紙をちらほら見かけるようになった。被災地の数多くが今なお困窮状態にあり、一進一退の福島第一原発は今日にも取り返しのつかない大惨事になるやもという状況にあるにも関わらず、芝居だけに明け暮れる日々に身を置いていると、我が身のいる日常と未曾有の事態との距離感がだんだん取れなくなっていくようで空恐ろしい。
 
 今日は午前中から初台。新国立劇場演劇研修所5期生のシーンスタディ発表公演『オールド・セイブルック』は、1時&3時開演の今日も2ステージ。関係者オンリーながら観客はどちらの回も15人ほどは入る。1時開演には我が劇団の制作F女子と、同じウディ・アレンの『又聞きの思い出』を訳した翻訳家のSさんも姿を見せる。芝居は昨日から今日にかけて1ステージごとに緊張が解け、緩みもなくなって一番出来のいい舞台で締めくくれたのではないか。
 最後のダメ出しを終えて、初台から西新宿へ徒歩で向かう。6時からはワンツーワークスの新メンバーオーディション。本日2回目のウォーミングアップをヒーヒー呻きながらこなす。
 オーディションを9時半過ぎに終えると、またまた歩いて初台へ逆戻り。既に7時から始まっていた『オールド・セイブルック』の打ち上げに合流。「残ってやり遂げた8人の結束は強くなったよな」という一人の言葉に皆、うんうんと頷く。振り返れば、わずか3週間の稽古期間だったのだが、衝撃の大震災、数人の東京脱出、やり直しのキャスティング……と、いったいどうなるんだ?となかなか先が見えず、とんでもなく長い期間を過ごしていたような気がする。
 
 帰宅してみると、宅配便の不在連絡票が届いていて、なんだなんだ?と見てみると、お荷物「水」、差出人「悟空」。???悟空から水の届け物? 誰だ、悟空って。ドラゴンボールか?
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「ガンバロウ日本」。初台の三菱自動車販売店。

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『オールド・セイブルック』舞台美術。
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2011年03月25日

若き貪欲パワー。――[372]生誕18,940日

 『オールド・セイブルック』本番1日目。震災の影響で一般公開はNGになったので観客は内部係者のみ。それでも3時開演には20人以上が入り、それがやる気に転じるかと思いきや、若き俳優の卵たちは哀れなほどガチガチに緊張しまくり、昨日まで積み上げた面白さの半分も出ず。終わった途端にほぼ全員が口惜しさを露わにする。
 芝居の流れの起点となるポイントが弱くなっていると具体的にダメ出しをして、「さぁ、気持ちを新たに」と6時の回に臨む。かなり持ち直す。だが、まだまだ余裕がないので、終演後にさらに抜き稽古に1時間半ほど費やす。疲れているだろうに皆、「もう1回お願いします」と心底、一生懸命。その貪欲な若きパワーに負けじとオッサン演出家も老体に鞭打つ。
 
 大震災から2週間が経過。民放テレビは通常番組にほぼ移行したが、CMは戻りが弱い。AC・JAPAN(前・公共広告機構)のCMもそろそろうんざりされるんじゃないかと危惧していたら、サッカーの日本代表やSMAP、トータス松本を起用したニューバージョンが投入された。
 しかし今、気懸かりなのは、やはり原発。被爆者が出たこと、高濃度放射線の漏出が明らかになったこと、放射能の恐怖は収束どころか深刻な側に傾き始めている。果たして日本政府・東京電力に策はあるのか。テレビが通常番組に戻ってしまったことが、かえって何か重大な情報統制が敷かれているのではないか、だからマスコミも取りあげようがなくて通常番組を流しているのではないかと疑心暗鬼になる。まぁそれでも私ぁ、まだまだ東京脱出はしませんけどね。
 被災地の皆さん、もうすぐ寒さも和らぐようです。頑張ってください。春は来ます。貪欲パワーで、みんなで春にしなければ。
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近所の消防署では日の丸が掲げられ始めた。がんばろうニッポン。
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2011年03月24日

稽古最終日。――[371]生誕18,939日

 朝から地震。我が家のある地域は震度3であったが、それでもグラグラ揺れて肝を冷やしたのに、東日本大震災は震度7。まるで想像が及ばない。
 しかし地震に関してはどうして経験が学習にならないのだろう。我が身も朝から「来た!」と揺れを感じた瞬間から、どうする?避難する? デカいか? デカいのが来るか? 外に出るか? まだ続くのか? 外に出るか? などと思いながら、結局何もしないでじっとしていた。目の前に家具類が激しく倒壊したり天井が落ちたりしなければ危機意識の低いこの男、恐らくどこにも行かず何もしない。もちろんそうなってからでは遅いのだが。
 
 午後から本番を明日に控えて最後の稽古。ウディ・アレンに挑む5期の研修生8人は、皆それぞれに勘がよく自分へのダメ出しには試行錯誤しながら役を深めていくのだが、それが周りとどう絡むのかという視点が弱い。なので、アンサンブルとしてはまだまだ物足りない。でもまぁ、大震災の影響を受けながら実質10日足らずの稽古を思えば、よくぞここまで。
  調子の悪かった左膝が回復。階段なんてへっちゃらだい!と思い昇り始めると、今度は右膝にピリピリと痛みが……。これは「とにもかくにも痩せろ」という体からのメッセージなのか?
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新宿で見かけた喫茶店の貼り紙。がんばろう。
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2011年03月23日

倍速稽古。――[370]生誕18,938日

 この電車、やたらと見晴らしいいなぁと思って、はたと気がついた。車内に中吊り広告が3枚しかない。おかげで車両の端から端まで視界を遮るものがなく、スコーンと奥まで見渡せる。人がいっぱい、広告もいっぱい。そういう世界に慣れてきた目にはなんとも奇妙に映る光景。これは長引く不況の現れなのか、大震災を考慮しての自粛なのか。どちらにしても打破したい状況には変わりない。
 午前中、翻訳家のSさんと事務所で『又聞きの思い出』のテキレジ作業。仕事の遅い無能演出家が1幕しか原文チェックをしていなかったので、今日は1幕を丹念にやって、2幕は宿題にさせてもらう。(泣)
 Sさんは通訳業でも引く手あまただが、今回の大震災で来日予定だった俳優やアーティストの来日キャンセルが相次ぎ、一気に仕事が減ったという。当たり前の話だが、いろんなことに影響が出る。それだけ世界は繋がっている。
 打ち合わせに少々時間がかかり、遅刻確定の状況で急いで初台へ。本番を明後日に控えて、『オールド・セイブルック』では倍速稽古を敢行。倍速とはセリフを喋るスピードを倍にするのはもちろんのこと、感情も倍、リアクションも倍。ただの倍速早回しとは違う。ひっきりなしに感情を大きく動かし、アクションも大きく速くなるので、俳優にとってはもの凄い運動量を強いられる。しかもそれを、止め遠しながら2回連続で敢行。ドS演出家は一人のんびり椅子に座って、「遅い!遅い! もっと速く! もっとフットワーク速く!」とS気分を満喫。(笑)
 しかし、さすがは全員20代。この寒い時期に汗をダラダラ流しながらも、必死に速さに食いついてくる。若いってええのう。今日は締め出しもなく、びっちり9時すぎまで稽古を満喫。(満喫したのは俺だけ?)

 
福島の第一原発は一進一退の様相。まだまだ予断を許さぬ。野菜の出荷制限・摂取制限など、じわじわと汚染が拡大する中、どうかこれで収まってくれ頼む頼むと祈りつつ、今は自分にできることに打ち込む。原発の事故収束も、被災地の復興もどうか倍速で進んでいきますように。
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街で見かけた花屋の店先。今年のクリスマスには笑顔がたくさん戻っているだろうか。
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2011年03月22日

節電ダブルヘッダー。――[369]生誕18,937日

 朝から会議で西新宿。連日の稽古の疲労なのか体が重い会議は嫌だと思いながら、会議が始まるや不遠慮に意見を言いまくる。つくづくこの男、始末が悪い。
 しかし、そうやすやすと精神力だけで何事も乗り切れるわけもなく、またしても軋み始めた左膝の痛みはぐっと我慢するしかない。節電でかなりの駅のエスカレーターが止まっているので、いつにも増して階段が辛い。階段が辛いなんて言い始めたら人間おしまいだよなと思いつつも痛いんだからしょうがない。杖こそついていないが、そろりそろりと階段を昇っている。
 
 午後、初台で本番まで残り2日となった『オールド・セイブルック』の稽古。遠し稽古を2回やって、部分稽古で突っ込みたいところがいくつも見えてきたのだが、節電のためなのか管理の問題からなのか、今日は7時には終了せよとの通達があり、後ろ髪を引かれる思いで明日に懸ける。
 7時過ぎに稽古場を出て、今度は西荻窪へ。ワンツーワークスの基礎稽古に行き、久々のダブルヘッダー。ベテランOや若手Sはバイトが長引き、骨折Oは戦線離脱と、少ない人数ながらモチベーション上げ上げで臨むが、こちらも節電のあおりで9時には退出せねばならず、今から佳境、というところで終了。
 ともに腹八分目ならぬ五分目くらいで追い出されて「すいません、追加オーダーを!」と言いたいところだったが、いやいやそれは贅沢というものであろうと我が身を戒める。

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別のリハーサル室では床の張り替え作業。「再生へ」  

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2011年03月21日

一日、稽古のことだけ。――[368]生誕18,936日

 一昨日から「一日、稽古のことだけ」で日々が過ぎていく。有り難く、嬉しいことのはずなのに、「今、芝居をやってていいのか?」という思いはどうしても頭を掠めるので、今は手放しで喜べないのがどうにも辛い。
 だが、これは間違いなく前進。そう我が身に言い聞かせながら、今日も研修生を相手に「違うよ、一回殺していいかな?」などと毒を吐く。(毒は吐かなくていいです)
 今日は遠し稽古を2回。通しで流れのマズいところは何度も返すという地道な作業を繰り返し、ようやく見え始めた『オールド・セイブルック』の全貌。なかなか奥深い話です。(ウディ・アレンの皮肉屋なところは、とても他人とは思えない)
 
 稽古を終えて10時近くに帰路に就くが、新宿の地下鉄は既に人がまばら。節電節電で照明も暗め、モニターも一切点いていないホームは、まだまだ傷跡の深さをひしひしと思い知らされるが、頑張りましょう。今日も。そして明日も。
 「老い日記」続行応援コメント、感謝。どうするか真剣に考えます。何をすべきか。何ができるか。そのことと合わせて。
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紙くずではない。
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2011年03月20日

日はまた昇る。――[367]生誕18,935日

 ようやくエンジンが全開で回り始めたと思ったら、もう既に最終コーナー。そんな状況の今回の芝居にゆとりなんぞあるはずもなく、昨日に引き続き今日も午後1時から9時半までびっちり稽古に精を出す。
 しかし芝居とはつくづく、「人と人とはそうそう簡単にわかり合えないものだよ」、そのことを思い知る作業の連続なのだと思わされる。「普通、人はそんなことはしない」「普通、そんなふうには動かない」とダメだしを言ったそばから、普通って何だ?あなたの普通と私の普通は同じなのか? というジレンマに陥ってしまう。そして、そもそも普通ではない演出家が力説しても説得力はないのだと思い知らされる。(それでも正義は我にありとばかりにフツーではない男は力説しますが)
 
 福島の第一原発にほんの少し明るい兆しが見えてきた(政府が本気で取り組み始めたのは、それだけ実は危険ということかもしれないが)。ただ、計画停電の生活にも多少の順応性が出てきたからか、新宿に出ると、街がいつもの顔を取り戻しつつある。もちろんまだまだ、どこかひっそりとした衣をすっぽりと街全体がまとっている。春、まだ遠し。されど日はまた昇る。
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カネゴンの活躍。11日の地震の際、スピーカーの上から落ちそうになったグラスをカネゴンが倒れながらもその足で際どく守っていた。
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2011年03月19日

2年目も続行?――[366]生誕18,934日

 気がつけば、我が「老い日記」が連載365回に到達。やったね。おめでとー。やんや、やんや。(拍手)
 早いもので、あの胃癌発覚の日から丸1年が経過。日々メタボになりつつ「老い」をますます実感してはいるが、今のところ癌が再発することも大きく体調を崩すこともなく、なんとか今日まで生きながらえている。
 さて、今後どうする「老い日記」。このまま2年目も突っ走るのか?丸1年を機に、また体調に大きな異変があるまで休止にすべきか? 悩むところだ。
 
 初台に向かうべく地下鉄に乗っていたら、ある駅でカップルが乗ってきて、女が我が隣に座り、男が女の前に立った。この二人、周りの人間を人間と認識していないらしく、ラブ注入モード全開のどデカい声で話す。それだけでもイライラするのに、話してる内容が輪を掛けて苛立つ。
 女「最近、ポアするって聞かないね」(おいおい、不謹慎だろ、この時期に)、男「そ−だね」女「オルグも聞かないね」(なんだよ、その脈絡のなさ)、女「オルグってどういう意味?」(オーガナイズだよ)、男「洗脳とかじゃないの?」(ちげーよ)、と女はやおらバッグから電子辞書を出し、「オルグってどうやって調べればいいの?」(だからオーガナイズだって)、女「あ、あった。……構造?構造を与えるだって」(その意味じゃねーよ)
 我が身が降りる駅が来て、やれやれ解放されたと思いながら降りるときに二人の顔をちらっと見たら、明らかに30歳前後。そんなに若いわけじゃない。大丈夫か、ニッポン。
 
 地下鉄を乗り換えると、今度は向かいの席に女流作家の林真理子氏にそっくりな男性が座り、その激似ぶりに目を奪われる。性別を超えてここまで似てるとは。唖然としたままガン見していたら目が合ってしまい、慌てて逸らす。
 
 午後1時から『オールド・セイブルック』の稽古。土日なので今日は計画停電もなく、ゆえにリハーサル室を閉め出されることもなく、本番6日前にして、ようやく本腰を入れた稽古が心置きなくできる。今日は全体像を掴むべく、手つかずだった後半だけをしつこく何度も繰り返し、夜の9時すぎまでパワー全開で突っ走る。東京から逃げ出さず残った面々は皆、やる気満々で、やっぱり気持ちが一番大事だよなぁと、手応えを感じながら稽古場を後にする。
 
 まだちょぼちょぼではあるが、テレビではCMが復活。ユニクロ(本田圭佑)、英会話のAEON(天海祐希)、ダンロップタイヤ(福山雅治)。三つは確認。それに今夜遅く、NHKが「トップランナー」を放送し、ついに24時間震災番組体制から抜け出した。これは前進であろう。
 まだまだ大変だが、頑張ろうニッポン。
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祈りよ、届け。
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2011年03月18日

老い日記[365]――生誕18,933/禁煙318日目

 午後、『又聞きの思い出』の美術打ち合わせ。ウディ・アレンのこの戯曲は相当な曲者で、結局、今日の打ち合わせでは方針が固まらず。上演コンセプトを明確にしていないと、きっと答えが見えない。そういうことだぞ、演出家。
 その後、事務所でそのままオーディション関係の雑用を済ませ、6時過ぎには自宅に帰る。
 
 地震発生から1週間。これまでの自然災害なら既に復興への道筋に事態は移行している頃だが、今回は原発問題をも引き起こしたことで、不安で危険な状態は今なお現在進行形。電力不足、燃料不足、物流不全などなど、ホントに今までにないドミノ倒しのような苦難の連続。なんとか踏みとどまっているニッポン、頑張れ。頑張ろう。
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ぽっかり満月。月の兎は悲惨な日本をどう見てる?
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2011年03月17日

老い日記[364]――生誕18,932/禁煙317日目

 テレビ全局、一斉の緊急特別報道番組から真っ先に通常番組に戻したのはテレビ東京、キー局ではフジテレビだった。このご時世にバラエティ番組をどこよりも早く放送するのは勇気が必要だったことだろう。CMの一切流れないテレビにも、ここは資本主義国か?とやや恐れおののいたが、ようやくCMも復活、と思ったら、流れるのは「AC(民間広告ネットワーク)」の広告のみ。その正確にはCMとは呼べないCMが繰り返し何度も何度も放送されるのも、CMが一切ないとき以上に不気味。早く、キリンビールやらホンダやらユニクロやら、普通のCMが見たい。真っ先に商品広告CMを流すのはどこの会社の何の商品だろう。野次馬オッサンは、今この点に興味津々。
 
 人数は減ったが気分一新、残る1週間あまり、張り切って稽古しようと初台の新国立劇場に向かう。残った研修生も己を掻き立てつつモチベーションを上げる中、楽観演出家もいつもの毒を吐きつつ稽古場を盛り上げるが(かえって皆、げんなりしているのかもしれないが)、夕方になって突如、「稽古を切りあげろ」と通達が入る。なんでも大規模停電になる恐れがあり、政府が計画停電に加えてさらなる節電をテレビで呼びかけたらしい。そのため劇場全体を早く閉めることにしたという。
 一難去ってはまた一難。なんだか、世の中全体が「絶対、おまえらには芝居なんかやらせないぞ」と嘲笑っているかのよう。
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電気を半分にしたJRの駅。幸い、我が杉並区はまだ一度も停電していない。
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2011年03月16日

老い日記[363]――生誕18,931/禁煙316日目

 午前中、書き物仕事に精を出しているところに、新国立研修生で今回演出助手も務めるKから電話。事務連絡の後、ちょっと代わりますと電話に出た別の研修生男子が「僕も東京を一時離れることにしました」とこれまた事務的に言う。「えー、おまえ昨日、俺は頑張りますよって断言してたじゃん」「昨日はホントにそう思ってたんです」「それがひと晩で180度ひっくり返るんだ」「すみません」……。唖然としたまま、午後の劇団協議会の総会のため池袋に向かうと、さらに別の研修生女子から留守電が入って、「急なんですけど、私も香川へ行くことにしました。直接会ってお話ししたかったのですが、もうすぐ出発するので」……。いやはや、恐怖心が募るのはわかるが、それにしても。ただただ唖然。やはり研修生はモラトリアム。責任とは無縁ということか。
 いつもより本数の少ない地下鉄を乗り継いで辿り着いた池袋。午後1時から日本劇団協議会総会。計画停電の影響で出席がかなり少ないかと思いきや、それなりに出席者がいて、さすがに責任ある大人は違うと思う。総会後の演劇人懇談会「文化庁の助成制度について」にはさらに多くの人が出席して、お金が絡む問題になるとさらに違うと思い知る。
 
 その懇談会を途中退席して初台へ。13人の研修生のうち5人も東京から避難し自主降板するという前代未聞の出来事に、今後どうするかを話し合う。なんだか対応策のミーティングばかりに時間を取られて、仕方がないとはいえ、稽古のできないもどかしさに苛立つ。結局、残った8人で一部キャスティングをし直して上演に突き進むこととなったが、大丈夫なのか『オールド・セイブルック』。この芝居以上に現実は不条理な事態に陥りつつあるぞ。
 
 帰宅してメールチェックすると、福島県いわき市在住のIさんから「無事です!」とメールが。地震発生以来まったく連絡が取れず本気で心配していたのだが、ほっとひと安心。だが、Iさんからのメールは切実で、なんだかんだ言って、まだ稽古ができている我が身は平和ボケなのかと複雑な気になる。
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『オールド・セイブルック』の稽古場。幻の公演に終わるのか?
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2011年03月15日

老い日記[362]――生誕18,930/禁煙315日目

 10時半と12時、二つの打ち合わせがともにキャンセルになり、なんだか世の中すべてが「それどころではない」空気が蔓延し始めている。
 朝8時半近くに制作担当の研修生Kから電話があり、何事かと思って出ると、「福島第一原発2号機が爆発したんです。1号機2号機の時とはワケがちがうんです。僕はシーンスタディ発表公演の中止を上に掛け合います」と何かに取り憑かれたようにまくし立てる。「僕は大阪にしばらく避難します。放射性物質がきてからじゃ、パニックになってどこにも逃げられなくなりますよ」「いや、君が全体の中止を掛け合うのはおかしな話だよ。君が不安で降板したいのなら、そう掛け合えばいいだけの話だよ」「ああ、そうですね。わかりました、そうします」
 午後、初台の稽古場に行くと、そのKは既に大阪に向かったらしく姿がない。その行動の速さにも少々あっけにとられる。おまけにシングルキャストだった別の研修生も「避難するのでしばらく来ません」と連絡があったらしい。これで3人が芝居から降りたことになる。いやぁ、びっくりだ。
 もちろん安穏とできる事態でないことはわかっている。政府発表でも漏れ出た放射線は「身体に影響を及ぼす数値であることは間違いない」と発表。事態は日に日に深刻になっている。だからといって今、東京から逃げるか?改めて我が身に問うてみるが答えはNOだ。なぜだろう。日本はそこまで無力ではないとどこかで信じているからなのか? 楽観的すぎるのか? 
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それでも花は咲き、季節は巡る。
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2011年03月14日

老い日記[361]――生誕18,929/禁煙314日目

 余波はとどまることを知らない。案の定、計画停電の影響で都心の交通機関は大混乱。11日の帰宅難民同様、出社難民が朝は駅に溢れかえった。
 福島第一原発は一昨日の1号機に続いて、今日3号機が水素爆発。相変わらず東京電力の記者会見は要領を得ず、当事者がよくわかっていないという事実に不安が募る。
 
 新国立劇場に向かう直前、研修生の制作担当K君から電話が入り、「計画停電の影響で2人、稽古場に来られないので休みです」とのこと。おまけに、「みんな不安を抱えていて、そもそもシーンスタディ発表公演をやるかどうかでさまざまな意見が出ている」と言う。
 稽古場に着いてすぐにミーティングを行うが、女子の一人は母と兄が九州に一時的に避難すると決めたらしく、「家族と離れたくないので私は帰ります」と自ら降板を宣言。ほかのメンバーは、「この先どうなるかわからないが、やろう」と気持ちを一つにして確認しウォーミングアップを始めたところ、スタッフワークを監修サポートしてくれる技術部のOさんがやってきて、「新国立劇場は3月いっぱい、すべての公演を中止すると決まった」と言う。その影響で、シーンスタディの発表も観客を呼ぶのはNG、スタッフワークについても舞台設営NG、照明使用NGという決定に。一様に、しょうがない……という空気が流れるも、自分たちのスキルアップのためにできることをやろう、と9時半まで稽古を続けたが、先が見えない状況が続く。
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明日、初日を迎えるはずだったオペラ公演『マノン・レスコー』も中止。幻公演となったチラシ。
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東京メトロの券売機も節電。いつまで続く?
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2011年03月13日

老い日記[360]――生誕18,928/禁煙313日目

 死者は恐らく30000人をはるかに超える。マグニチュードが8.8から9.0に修正され(世界史上4番目の規模)、NHKが「東北関東大震災」と名づけた今回の地震と津波の悪夢。丸二日たっても安否不明者が信じられないような数で報道され、あちこちで孤立が確認されている人も相当数にのぼる。
 おまけに昨日、1号機が水素爆発を起こし、それでも重大な事態ではないように発表されていた福島第一原発が次第にトンデモナイことになっている。放射性物質が漏れることはないと断言していたにもかかわらず「被ばく者」が出現、「除染」だの「セシウム」だの聞き慣れない言葉が飛び交い、さらに事態が悪化することを十分に予見させるが、記者会見に臨む東京電力は責任回避からなのか曖昧な答弁に終始し、政府も冷静さを呼びかけるだけで、「実際、どういう状況なのか?」は断片的にしか伝わってこない。
 思えば2008年に上演した『流れる庭―あるいは方舟―』は我が国の危機管理能力の低さに警鐘を鳴らした芝居だったが、やはりそうであったか、というより、想像よりもはるかに危機管理能力はない。
 さらに東京電力では、明日から首都圏の自治体を5グループに分けて順番に停電させる「計画停電」を実施するという。鉄道はどうなるのか?病院はどうなるのか? あまりにも唐突で準備する時間もなく混乱に陥ることは必至だろう。
 どうなるニッポン。これ以上、被害と混乱を食い止める手だてはないのか?
 
 今まで経験したことがない「何かよからぬこと」が次々に報道され、嫌でも不安感を煽られるが、典型的日本人ゆえ危機意識の低い演出家は、今日を逃したらチャンスはないと、どうしても観たかった映画『英国王のスピーチ』を観に行く。
 不謹慎? いやいや日常的に振る舞うことこそ大事と我が身に言い聞かせつつ映画館に入ると、予想に反して館内はほぼ満席。危機意識の低いたくさんの同志を得て、存分に映画を楽しむ。『英国王のスピーチ』、間違いなく傑作。2時間があっという間に過ぎ去り、元気をもらって帰路に就く。
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計画停電を知らせるテレビ。恐らく、混乱必至。
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2011年03月12日

老い日記[359]――生誕18,927/禁煙312日目

 深夜までニュースを気にしていたが、3時間で目が覚める。朝になってもテレビは各局、ひっきりなしに被害状況を繰り返す。昼前になって外に出ると、街は昨日の騒ぎが嘘のように日常に戻っていて、その回復力にかなり驚く。いや、爪痕はいくらかは見受けられる。恐らく手作りの竹で編んだざるやら竹箒やら、おじいちゃんの職人芸が垣間見えた近所の小さな生活雑貨の店に「KEEPOUT」の無情なテープが張られている。地下鉄丸の内線に向かえば、今なおダイヤが乱れているため時刻の表示がない。そして何より、スーパーやコンビニから食料品が姿を消している。中でも弁当、おにぎり、サンドウィッチ、パンの類はものの見事になくなっている。たぶん、物流がSTOPしているのだろう。そうか、こういう形で余波は広がるのかと改めて思うが、いや、それにしても回復力には目を見張る。
 そうかと思えば東京の回復とは裏腹に、津波の直撃を受けた東北3県の被害状況の深刻さも時が経つに連れてあらわになっている。丸ごとが呑み込まれて一瞬にして壊滅した町。砂浜に200から300の遺体が打ち上げられた町。今なお10000人もの安否がわからない町。……想像が追いつかないほど深刻さが明るみに出てきている。
 
 今日の稽古は予定通りできるのかと少々不安を覚えながら初台へ向かったのだが、なんてこともなくフツーに稽古は始まる。しかし今日は研修生たちがシアターコクーンに『日本人のへそ』を観に行く予定だったのだが、その芝居は中止に。じゃあ、遅くまで稽古するかと思えど、リハーサルルームを使用しているのは我々だけらしく、予定通り、6時には稽古を終える。
 
 今日もテレビのキー局はどこもCMを流さず、ひたすら災害情報を流し続ける。東京の街に出かけると異常さはほとんど感じないのに、テレビでは異常事態を報道し続け、非日常を突きつけてくる。このギャップがなんだか恐ろしい。
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我が家近くの店に「KEEP OUT」が。倒壊の恐れあり、と判断された模様。店主のおじいちゃんは今どこに?

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上の写真の貼り紙のアップ。
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