2011年10月11日

ストレス増加。――[572]生誕19,141

 一日じゅう、書き物仕事に追われる。しかし、どうにも集中力不足、能力不足で、進みはのろい。
 頭がんがんからの風邪はどうやら回避できそうだが、際どい闘いはまだ続いていて予断は許さず、まさにヒーハー言いながら机にへばりついていみるが、やはり人(登場人物)の心に深く下りて行くには健全な体でないと、なかなかしんどいものがある。ま、言い訳ですが。
 
 相当な長時間、椅子に座り続けているので、致し方なしとはいえ、肩と首筋がバキバキ。常に首筋に砲丸投げの鉄の玉をぶら下げているかのよう。よし、ここは気分転換も兼ねてマッサージだ。と思ってみても、「いいのか?いいのか?行ったら行ったで後悔するんじゃないのか?」と、もう一人の自分が冷たく水を差す。この身動きとれない、がんじがらめの心理状態がストレス増加にさらに拍車を掛ける。
 
 でもって、精神的にも肉体的にもかなり追い込まれているのに、一日が終わってみれば、さしたる成果ナシ。
 ああ、人生無常。されど、ガンバリマショー。
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ボンボンが2個、てっぺんに黄色のアクセント。この観葉植物を買うべきか見送るべきか、目下、思案中。
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2011年10月10日

火災報知器、鳴り響く。――[571]生誕19,140

 体調がおかしい。頭を少し振っただけでズキズキ。がんがん響く。もしや風邪をひいたのか。11時にホテルをチェックアウトし、リムジンバスで広島空港へ。機内では意地になって眠り続け、羽田に着いてみると、あーら不思議、頭ががんがん。
 そういえば昨夜の午前3時頃、ベッドに潜り込んでの寝入りばな、遠くでうるさい音がする。半分夢心地ながら、これは何か確かに音がしてる、しかもうるさい音だぞ、どこだどこだ?と夢遊病者のように起き上がり、寝ぼけ眼でバスルームのドアを開けたところで、「火災報知器が鳴ってんじゃん!!」と我に返る。
 我に返ってみると、音は相当けたたましい。ヤバいヤバい、ホテルで火事かよ。ここは何階だ?そうだ10階だ。10階より下が火事なら、マジでヤバいヤバいと思いながらも、ま、慌てたってしょうがねーし、と思ってベッドに潜り込んだところでようやく音が切れ、館内放送が流れる。
 「ただいま火災報知器が鳴りましたが、現在調査中です。お客様はそのまま室内にてお待ちください」
 この館内放送がまた凄まじくデカい。真夜中3時だぜ。恐らく宿泊者、全員おめめ全開。もう寝るなってことなのか?
 しかし待てども待てども次の放送はなし。おいおい、ほったらかしかよ?と一人毒づいていたら、ようやく15分ほど経って。再び放送が流れる。
 「先ほど火災報知器が鳴ったのは誤報だと確認がとれました。大変お騒がせしました。ごゆっくりお休みください」
 寝れるかよ!
 
 あの寝入りばなに起こされたことが頭がんがんの原因なのかもしれない。(たぶん違います)
 しかし頭のふらつきは少しもとれず、そのまま夕方には稽古のため西新宿へ。ええい、荒療治とウォーミングアップに張り切ろうとするが、上半身前屈で頭を下げただけでよろめく。……ありゃりゃ。すっかり体力のなくなったオジサンは、すっかり自信も喪失し、よぼよぼになってムーブメントの稽古に励む。
 
 帰宅して今なお、頭ががんがん。明日締め切りの仕事があるのに、がんがん頭では何も浮かばない。
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水素水。まだ飲んでませんけど、それが何か?
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2011年10月09日

リーディングに戻す?――[570]生誕19,139

 今日も一日、朝から晩まで「DOCS」。戯曲講座は3時間、ほとんど独りで喋りっぱなし。若き劇作家の卵たちは「何を書けばいいのか」というより、「何を書きたいのか」を見失い始めている。うん、確かにそれが一番難しい。問題意識のない人に台本なんて書けるわけがないからね。……と、したり顔で語るそこのオッサン、あんたもだよ。問題意識、持ちなさい。
 
 演技講座の『修学旅行』は12月にリーディング公演として上演する予定だったのだが、いわゆる普通のストレート・プレイになりそうな気配。それほどセリフは入ってはいるのだが、いざ、ちゃんとした芝居を目指すとなると、体や動きに恐ろしいほどの時間を取られそうな気がして、演出家はまだまだ躊躇している。ここは稽古日数、残り4日間しかないのだから、セリフに重点を置いたリーディングにやはり戻すべきか?
 
 夜9時前に稽古を終えて、今日は地元トレーナーの面々と飲みに出る。と言ってもマジで酒がすすまなくなった演出家はノンアルコールビールなんぞに手を出す。今日は皆さん、お疲れなのか、まったりムードで話がひと段落してもなかなか重い腰が上がらず、結局午前様。
 いつもながら広島の一日はあっという間に終わるが、終わってみると疲労感も半端ではない。
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ちょいメタボ。
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2011年10月08日

肉を食らう。――[569]生誕19,138

 ほぼ1カ月の広島「DOCS」。10時から午後1時まで「戯曲」。劇作家の卵たちは皆、苦戦。誰もがこのひと月、ほとんど前進がない。停滞し続けたまま。「次にどう展開すればいいのか、すぐわからなくなるんです」「どうしても書けないときはどうすればいいんですか?」
 わかる、わかるよ、その苦痛。だから教えてあげるけど、誰も助けてくれないし、どうにもならない。いつかそのうち、なんてこともない。ただひたすら我慢に我慢を重ね、1行ずつ1行ずつ、自分でひねり出しながら道を切り開いていくしかない。ま、人のことならナンボでも偉そうに言えます。頑張ってくれたまえ。
 
 午後2時からは「演技」。こちらは12月に上演する『修学旅行』の稽古に突入。自主練を頑張ったのか、セリフは全員入っている。偉い。とはいえ、演出家と俳優がともに稽古できるのは僅かに6日間のみ。ホントにこれで芝居ができあがるのかと思うが、とにかく前を向いて進むしかない。
 
 稽古は夜8時半に終わって、その後みんなで焼き肉を食らいに行く。どれくらいぶりなんだろう、焼き肉。半年?1年?肉より魚派のオジサンはいつもよりは食べたと思うが、ほどほどのところでクッパやテールスープに切り替える。焼き肉と言えばビールだろうが、結局アルコールも飲まず。
 とはいえ、少し気を引き締め直さないと、食への自制心が薄れ始めている。無性に甘いものを食べたくなるのはストレスなのか。いかんいかん、まだまだ動ける演出家でいなくては。
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青空に浮かぶ月。肉眼だともっとくっきり細部まで見えた。人間の持つ機能って凄いと感嘆。
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2011年10月07日

常連になる。――[568]生誕19,137

 昨夜、稽古から帰ったら疲労激しく、頭も働かず、今日は寝ると決め込んでベッドに潜り込む。何カ月ぶりかの睡眠7時間。いやあ久々に寝た寝たと思いながら起き出して、さぞや快適な一日だろうと思いきや、どうも寒気がして風邪っぽい。昨夜の疲れ方といい、過酷な日々が少し収まってすっかり気が緩んでいるのやもしれぬ。新作『死に顔ピース』初日まで、あと1カ月ちょっとしかないので、とても気が緩んでいていい状況ではないのだが。
 
 夕方、ばたばたと準備して羽田へ。ほぼ1カ月ぶりの広島。余裕を持って家を出たはずなのに、電車の接続が悪く、空港に着いてみればファイナルコール。そりゃないよと思いつつ搭乗すれば機内は満席。なんだなんだ、なんでこんなに多いんだ?と思ったら世間は明日から3連休。すっかり世間からかけ離れて生きている我が身に少々愕然となる。
 
 10時過ぎにホテル着。チェックインは完全顔パス。驚くことに、フロント係は我が顔を見るなり部屋のキーを差し出した。宿泊カードを書くこともメンバーズカードを出すこともなし。まぁ、こんだけ頻繁に泊まってれば覚えてもくれるわなと思いつつも、キーを受け取り、「あの」と言っただけで「LANケーブルですか?」と即座に用意してくれて、ホテルマンって凄いなと恐れ入る。常連になるとはこういうことなんだね。
 広島もすっかり秋めいて、夜は思わず身震いするほどの寒さ。風邪など引いてる場合ではありませぬ。
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今や我が書斎のような広島の定宿。
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2011年10月06日

野田内閣を支持しますか?――[567]生誕19,136

 朝から神楽坂。T高校での初授業。高校生で芝居を志すのは圧倒的に女子が多く、ここでも女子20人に対し、男子はわずかに2人。科目は「演劇史」なのだが、それには少しも構わず、座学ではなく実技をたっぷり行う。来週からは本格敵にシーンスタディに取り組む。テキストはノルウェーの昔話『三びきのやぎのがらがらどん』。なんとも掴み所のないお話なのだが(特に終わり方の意味が不明)、これを4〜5人ひと組で面白い芝居に仕立てていこうという趣向。
 生徒たちは高校2年なので16〜17歳。きっと彼らの両親は我が身より年下。高校での授業は我が「老い」を如実に突きつけてくるので、いささか痛い。
 
 そう言えば今日、フジテレビ「新報道2001」の世論調査という電話があった。ほらあの、無作為抽出というヤツですね。「1、2分で終わります」と言うので、面倒くささよりも好奇心が勝ち、ついつい「いいですよ」と答えてしまう。質問は全部で五つ。
「Q1.次の衆院選でどの党に投票しますか?」
「Q2.野田内閣を支持しますか?」
「Q3.東京都が宮城県からの被災地から瓦礫受け入れを決定しました。都民としてこの決定を支持しますか?」
「Q4.野田首相は今年度中にも原発再稼働に踏み切るとしていますが、原発を早期に再稼働すべきだと思いますか?」
「Q5.小沢一郎議員の証人喚問を野党は求めていますが、どう対応すべきだと思いますか?」
 へえ、これが今、世に問いたいことなのかと思いつつ、即答即答でしゃかしゃか答えて、ほんとに1分ほどで終了。あっけない。例えば「支持しません」と答えても、「なぜ支持しないのですか?」とは決して聞いてくれない。ほんとに誰でもいいんだなと思うと、自分が箸にも棒にもかからない人になったような気がして、なんだか空しい。
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T高校にて。「じゃあここでお着替えなさってください」と案内された小部屋には「骸骨くん」が主のようにいらっしゃいました。
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2011年10月05日

超スローモーション。――[566]生誕19,135

 午前11時半から日本劇団協議会臨時総会。公益法人への移行が着々と進行中。議案に対する質問は1件もなく、総会は1時間ほどで滞りなく終了。組織名を変更するかどうかで意見が出るかと思ったが、何事もなく「日本劇団協議会」のまま移行することに。
 名前を変えるって難しいんだなあと改めて痛感。我が身に置き換えてみても、「劇団一跡二跳」のままでよかったのになあ、と今でもときどき思う。
 
 そんな過ぎたことを思いあぐねてもしょうがないので、夜は「ワンツーワークス」の稽古にせっせと励む。今日から新しいムーブメントに着手。名づけて「超スローモーション」。これがやってみると、狙い通り、とっても面白い。イケるイケると演出家は独り勝手にほくそ笑む。もちろんお披露目するにはまだまだ練り上げも技術の向上も必要だが、方針が一つ明確になってモチベーションもアップ。皆さん、お楽しみに。
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たまには見つめよーね、自分の足もと。
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2011年10月04日

体に教えられる。――[565]生誕19,134

 過酷な日々にあってずいぶんとサボっていたランニングを再開。いやあ、ようやく気持ちのいい汗がかけるぞと張り切ってスタートしたものの、すぐに長いブランクの怖さを思い知らされる。10分もしないうちに息はあがるわ、ペースは乱れるわ、走り出して20分ほどでもうバテバテ。予定の1時間を走りぬくパワーもなく、45分で切り上げてしまう。……体は正直。「今までサボってたんだから急に以前のように走れと言われても、そりゃ無理でっせ、大将」と体にぴしゃりと撥ねつけられる。やはり何事も、やる気だけでは達成できない、毎日の積み重ねがことのほか大事なのだと、我が体に教えられる。
 
 夜は月イチの劇団制作会議。来年・再来年の企画が主な議題だったのだが、意見する者はいつものようにほとんどいない。もはや会議というより、ただの了承・伝達の場。だったらわざわざ顔を付き合わせる必要ないじゃん。こんなことに数時間も果たして費やしていいものか。みんなで10kmランニングにでも出たほうが、よほど有意義じゃないのかと真剣に思う。
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都会の墓標。(傘は燃えるゴミではない)
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2011年10月03日

『死に顔ピース』始動。――[564]生誕19,133

 出張演出家の仕事が昨日終わったばかりだというのに、早くも今日から我がワンツーワークス『死に顔ピース』が始動。我が身に休みは1日も与えられず。過酷な日々はいつまで続くのか。今日くらいマッサージに行って、うまいものたらふく食って、たまっているDVDを観たりして……などというのは夢のまた夢。せっせせっせと一日一日のスケジュールをこなすのみ。
 
 夕方から『死に顔ピース』の出演者顔合わせ。といっても簡単に自己紹介だけ済ませると、直ちにウォーミングアップになだれ込む。それから延々、ムーブメントの基礎稽古。
 今回の客演には俳優以外にクラウンのYAMAさんにも出演していただくのだが、不躾な演出家は初日早々、YAMAさんに「スローモーションで何かパントマイムをやってみてください」と無茶ぶりをする。するとYAMAさん、「これがスローモーションというやり方はないんです。ただ、ゆーっくりやるだけで」「じゃあ、それでお願いします」。ごり押しする演出家に呆れたかもしれないが、やっていただきました、「朝の洗面・歯磨きゆっくりバーション」。さすがはプロ、これ実に面白い。『死に顔ピース』の劇中で披露する場面があるかどうかはまだ未定だが、YAMAさんの見せ場はしっかりあるので、今から楽しみ。
 
 新たな芝居が具体的に始動したものの、溜まりに溜まった肉体の疲労感は未だ回復せず。やはりここは温泉にでも行くべきじゃないのか。真っ昼間からビール、かっくらうべきじゃないのか。(好きにしなさい)

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パッチ・アダムスを解説した本。『死に顔ピース』とも深い繋がりがある。映画もオススメ。

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2011年10月02日

ちゃんと動けるのか。――[563]生誕19,132

 「老い日記」に更新をアップする暇もないまま終わってしまいました『幽霊人命救助隊』。当たり前だが、だんだん芝居は面白くなり、評判も上々になってきたのに、はい、もうおしまい。なんとも無念さが残る。俳優も口々に「リベンジ公演しましょうね」と言う。確かに今回ほど7ステージを短く感じた公演はかつてない。確かにもっともっとブラッシュアップしたかったですな、と。
 
 いろいろと大変な公演ではあったが、千秋楽の今日もタダではすまない。昼過ぎに劇場に入ると、制作助手のKさんが怖い顔で言いに来る。「俳優Yがムーブメントの稽古中に肉離れを起こして今、病院に行ってます」。肉離れえ?なんだとお? おいおい、大丈夫かよ。「歩けてはいた」と言うから、さほど大問題ではないなと思っていたが、開場間際に戻ってきたYは、「足を着くとすげー痛いです」と言い、なんと痛み止めの座薬を入れて本番に臨む。ちゃんと動けるのかと、やや心配だったが、何事もなく千秋楽の舞台は閉幕。よかったよかった。
 
 みんながバラシにかかる中、役に立たない演出家はわざわざ六本木まで来てもらった舞台美術家のIさんと次回公演『死に顔ピース』の美術打ち合わせ。まったく休む暇なく、次へ次へと駆り立てられる。
 午後7時半過ぎから打ち上げ。大変さを共有したみんなは互いにわいわい言い合いながら、みんながんがん飲む。明日から早くも『死に顔ピース』の稽古が始まる我が身は自制心を働かせて、ちゃんと終電で帰る。
 皆様、お疲れ様でした。ご来場いただいたお客様、ありがとうございました。
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「柚子茶」。茶葉を使わないジャムのお茶。お湯で薄めて飲むそうな。いただき物。
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2011年10月01日

本番やってます。――[562]生誕19,131

 午前11時に高円寺。来週から始まるT高校での授業内容の打ち合わせを女優&演出家のNさん(流山児★事務所)と。1時間ほどで方針を決めて、そそくさと六本木へ。
 難産の末に開いた『幽霊人命救助隊』は早くも楽日前日。今日は昼夜2公演。貧乏暇なしの演出家はマチネが終わるや否や、ダメ出しの要点のみを演出助手のCちゃんに手短に伝えて、急いで初台へ。
 5時半から新国立劇場マンスリー・プロジェクトのリーディング公演『邯鄲』を観る。三島由紀夫のセリフはさすがに美しい。壺井栄の『二十四の瞳』もそうだが、昔の日本語は音が素晴らしく耳に心地よい。聞いていてはっとするような言い回しに何度も出会う。 リーディングは6時半に終了。新国立劇場で会ったK君(研修所修了生)が「観たいです」と言うので、K君を引き連れて直ちに六本木に舞い戻る。間に合わないと思っていたが、7時ぎりぎりに着いて、夜公演も冒頭からしっかり観る。ようやく芝居が落ち着き始めたのに、もう残りは明日の1ステージのみ。
 今夜は我が劇団のベテランOが観に来て、終演後、今回初めて飲みに出る。生ビールを2杯。アルコールを口にして、ああ、なんだかやっと「本番やってます」という気になる。それでも深酒になることもなく、12時前には電車で帰宅。
 なんとか千秋楽に辿り着いたなあ、と独り部屋で安堵していると、真夜中2時前になって主役のK(23歳)から電話。「ダメ出しをお願いします」。残り1ステージというのに偉いと言うべきか悪あがきと取るべきか。それでも心優しい演出家は声がかれかかっているKに延々1時間20分ほどもダメを出す。電話を切ったのは3時過ぎ。きっとKは睡眠不足で千秋楽は声が出なくなる。責任は取りませんが。
 時計を睨みつつあっちに行ったりこっちに行ったり、なんとも慌ただしい一日であった。
 
 今日、耳に飛び込んできたセリフ。開演間近の俳優座劇場にやって来た中年カップル。男が劇場前に置いてある灰皿に立ち止まるや、女がすかさずこう言った。
 「また吸うの!? もうー、ほんとに犬のマーキングと同じね」
 女の声色には侮蔑感たっぷり。その横でネオシーダーをぷかぷかやっていた演出家は思わず、「犬かよ……」と呟きました。
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六本木交差点。ずいぶん街の表情が変わったなぁ。
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