2011年10月29日

深い深い蟻地獄。――[590]生誕19,159

 新国立劇場で『イロアセル』を観る。脚本は意表を突きすぎるほどの特異な設定。寒い季節に吐く息が白くなるように、声そのものに色がついている、しかも人によって色は違うので誰の言葉か識別できるという、ほとんどトンデモ話。この広げた風呂敷、大丈夫か?と不安になって見始めたからか、繰り広げられる世界に入っていくのに時間がかかるが、目先の会話はとりあえず面白い。さすがに広げた風呂敷はどうにもならなかったが、それでも脚本には作者の格闘の跡が随所に伺えた。残念なのはなんとも平板な演出。空間的にも感情的にもなかなか立体的に立ち上がってこないので、2時間10分の旅は長さだけを感じることになる。
 驚いたことにカーテンコールで主役の俳優が「○日までやってます」と宣伝告知をしていた。確かに空席は目立っていたが、そこまで悲惨な状況とは思っていなかったので、やっぱりなんだかんだ言っても数字が大事なんだなぁと複雑な思いで劇場を後にする。
 
 今さらながら、我が脚本執筆の助けにしようと、コミック『ブラックジャックによろしく』を本棚に探すが、読みたい1〜5巻が見当たらない。すっかり頼りなくなった記憶を辿り、俳優Oに「貸したままになってるよね?」とメールするが、返信は「見当たらない」。しかし、どう記憶を辿ってもOしか思い浮かばず、我がほうの記憶違いかもしれない可能性は棚に上げて、ひそかにOを呪う。
 老い先短い身としてはそろそろ、貸しっぱなし・借りっぱなしになってる本(DVD、CDも)に決着をつけといたほうがいいよなと思い立つが、我が書棚から何の本が消えているのか、それさえ思い出せない。(だから結局、何もしない)
 
 『死に顔ピース』は導入部がどうも落ち着かない。何度書き直しても、何度演出し直しても、なんだかキレが悪い。深い深い蟻地獄に自ら降りて行ってるようで気が気ではない。
ブラックジャックによろしく.JPG
『ブラックジャックによろしく』。画期的な作品だが、実は主人公が嫌い。「てめぇー、頑張るところが違うんじゃねぇか?」と、見ていてイライラする。
posted by 老い日記 at 00:00 | Comment(0) | 日記